こんばんは、オダシです。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に 細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、 後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。

というものです。
前の問題はこちら(2019年度 第52回 総論-4. 肉芽腫性炎を示す疾患はどれですか)
次の問題はこちら(2019年度 第52回 総論-6. 間質性粘液を有するものはどれですか)

目次
問題 総論-5 【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

5.免疫組織化学で核に陽性所見を示すものはどれですか.
A. TTF-1 1.A.B
B. DOG1 2.A.E
C. CD20 3.B.C
D.E-cadherin 4.C.D
E. MyoD1 5.D.E
解答は2. A.E です。
この問題のポイントは「免疫染色の陽性局在の把握」です。
類題は過去10年間で8問ほど出題されており、隔年以上のペースで出題されています。
今年も出題される可能性が高く、対策を講じる効果は非常に高いです。
解説していきます。
免疫染色の陽性局在の把握

免疫染色に使う抗体はものすごい種類があります。
あらゆる抗体を覚えなければならないように思いますが、 心配はいりません。
基本的な事柄をおさえた後に、特殊な例を学んでいきましょう。
過去10年間で複数回出題された抗体は確実に覚えましょう。
これらの陽性部分の局在を分類してみましょう。
細胞膜に陽性:CD系、サイトケラチン系、E-cadherin、HER2
細胞質に陽性:HMB45、GFAP
核に陽性:TTF-1
これらを覚えておけば、今回の問題も選択肢が二つまで絞られます。
基本を押さえて、少しづつ知識を加えていきましょう。
免疫染色の精度管理は染色枚数が多くなる疾患を疑うときにはより重要になります。
例としては、消化管間質腫瘍や肺癌、悪性リンパ腫などです。
これらは多くの場合、「免疫染色4種」のくくりに入るため、まとめて覚えてしまうと楽です。
今年2020年に診療報酬の改定があり、免疫染色4種の内容に変更が加わったため、
後日解説していきます。
消化管間質腫瘍の免疫染色
消化管間質腫瘍はGIST、神経鞘腫、平滑筋腫の鑑別を免疫染色で行います。
使う抗体はそれぞれ
- DOG1(+) ⇒ GIST
- S-100(+) ⇒ 神経鞘腫
- α‐SMA(+) ⇒ 平滑筋腫
といった感じになります。
この3つはすべて細胞質に陽性となります。
※DOG1は一部核にも陽性となることがある。
肺癌の免疫染色
肺癌は主に、腺癌と扁平上皮癌の鑑別を免疫染色で行います。
使う抗体はそれぞれ
- 腺癌 ⇒ TTF-1、Napsin A
- 扁平上皮癌 ⇒ p40、CK5/6
といった感じになります。
TTF-1、CK5/6はすでにまとめたとおりです。
ここでNapsin Aは細胞質、p40は核に陽性となります。
悪性リンパ腫の免疫染色
種類や鑑別が煩雑になるため後日、別記事で解説します。
まとめ:問題 総論-4 【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 総論-5」についてまとめてきました。
おさらいします。
- 問題のテーマは「免疫染色の陽性局在の把握」
- 免疫染色の抗体の種類は膨大
- 過去問を振り返り、複数回出題されているものを確認しよう
- 制度改正などで注目される抗体や疾患についてはアンテナを張っておこう
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。