こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に 細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、 後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。

というものです。
前の問題はこちら(2019年度 第52回 総論-13.誤っているものはどれですか)
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目次
問題 総論-14【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

14.神経内分泌顆粒を含むものはどれですか.
A.淡明細胞型腎細胞癌
B.肝細胞癌
C.膀胱小細胞癌
D.胃印環細胞癌
E.食道扁平上皮癌
解答は3.膀胱小細胞癌です。
この問題のポイントは「細胞質内顆粒の把握」です。
解説していきます。
細胞質顆粒の把握

細胞を知れば、病理・細胞診を学ぶ基礎が完成します。
基礎だからと言って侮らないことがキモです

細胞質の構造物を把握しよう
細胞内の構造物はその細胞の機能を反映したものなので
所見として認識できれば、判定に自信が持てます。
特に組織型判定に直結する所見は頭に入れておきましょう
扁平上皮系
扁平上皮系の細胞には
- 層形成
- 角化
のような構造が細胞質の中にみられます。
細い線維が絡まったような見え方で、
顆粒感のある印象は受けにくいです。
一部に好酸性の強い顆粒がみられますが、
例外として知っておくといいかも位のものです。
腺上皮系
腺上皮の細胞には
- 細胞質内粘液
- 粘液空胞
- 粘液顆粒
のような構造がみられます。
いずれも産生される粘液を反映した構造物です。
顆粒は非常に細かく、水彩絵の具様に見えます。
粘液が観察された場合には、容易に判定が可能です。
尿路上皮系
尿路樹皮の細胞には
- (扁平と腺の中間のような)細胞質内顆粒
がみられます。
尿路上皮系の腫瘍は常にほかの上皮系の腫瘍と鑑別が必要になるため、
判定が難しくなります。
好酸性でやや粒の大きい顆粒がみられます。
神経内分泌系
神経内分泌系の細胞には
- (電顕的に)神経内分泌顆粒
がみられます。
神経内分泌顆粒は粒が非常に細かいため、
現状光学顕微鏡で観察することは不可能です。
将来に期待しましょう。
その他
他に特徴的な顆粒としては
- グリコーゲン
- メラニン
- タンパク
などがあり、説明しだすとキリがないので
後日まとめていきます。
グリコーゲンは腎細胞や肝細胞にみられ、
メラニンは悪性黒色腫などの細胞、
タンパクは特定の血液系疾患などで観察されます。
以上の所見をざっくり覚えておけば問題ありません。
問題解説 総論-14
今回の選択肢を振り返りますと、
神経内分泌顆粒を含むのは
3.膀胱小細胞癌
となります。
軽く解説しますと、 膀胱の内腔は尿路上皮細胞ですが、
小細胞癌は全身どこにでも発生しうる、神経内分泌系の腫瘍です。
細胞質の構造物は臓器に対して、一対一対応で覚えるのではなく、
細胞に対して把握しておきましょう。
まとめ:問題解説 総論-14【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 総論-14」についてまとめてきました。
おさらいします。
- 問題のテーマは「細胞内の顆粒の把握」です
- 細胞内の顆粒は組織型の鑑別に役立ちます
- 違いが身につけば自信をもって判定可能になります
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。