細胞診 臨床検査

【基本のキ】Papanicolaou染色をおさえる 問題解説 技術-6【第52回 細胞検査士認定試験 一次筆記試験】(2020.8.14追記)

こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。

普段は大学病院の臨床検査技師、医療系大学院生(D1)をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。

この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に

細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。

 

その後、大学院に進学し、

後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。

 

学生たちから、こんな要望がありました。

一次試験の対策を始めたのですが、この知識で十分なのか分からないので解説してほしい。
男子学生
男子学生

というものです。  

 

前の問題はこちら(2019年度 技術-5.超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引細胞診(EUS-FNAC)について誤っているものはどれですか)

次の問題はこちら(2019年度 技術-7.ゲノム診療におけるホルマリン固定パラフィン包埋組織検体の取り扱いについて誤っているものはどれですか) (2020.8.14追記)

 

オダシ
オダシ
さっそく解説していきます

 

問題 技術-6【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

オダシ
オダシ
問題文を見ていきましょう

6.Papanicolaou染色について誤っているものはどれですか。

 

A.染色液色素の分子量の差と細胞質の分子構造の違いを利用した染色法である             

B.分子量の大きな色素は小さいものと比較して拡散速度が遅い                        

C.ギルのヘマトキシリン後の分別は10%塩酸70%アルコールで行う                                

D.オレンジGの調整には無水エタノールを用いる                                 

E.染色性は温度、湿度、水のpH等の様々な要因に影響を受ける

                                     

 

選択肢は

  1. A, B
  2. A, E
  3. B, C
  4. C, D
  5. D, E  

で、解答は4. C, Dです。

 

Papanicolaou染色は細胞検査士にとって

基礎 of 基礎です。

確実に押さえておきましょう。

 

本問のポイント

この問題のポイントは「Papanicolaou染色の基本」です。

オダシ
オダシ
Papanicolaou染色は細胞診を行う上では欠かせません

Papanicolaou染色の基本

Papnicolaou染色について

押さえておくべき知識は

  • Papanicolaou染色の意義
  • Papanicolaou染色の原理
  • Papanicolaou染色の染色手技
  • Papanicolaou染色の染色結果

です。

 

これらの項目は確認しておきましょう。  

 

オダシ
オダシ
それぞれについて解説していきます

Papanicolaou染色の意義

Papanicolaou染色は

「細胞診に不可欠な形態観察用の代表的な染色法であり、

組織標本のヘマトキシリンエオジン(HE)染色に相当する重要な染色法」

(細胞診を学ぶ人のために 第6版)

と意義付けられています。

 

また、他の染色法に比べ、

  • 核クロマチンの染色性が良好
  • 扁平上皮系細胞の分化・成熟の判定が容易
  • 細胞の透明性が高く、重積細胞の形態観察が可能

なども、Papanicolaou染色の

意義と考えられえます。

 

 

Papanicolaou染色の原理

Papanicolaou染色は、

  • ギルのヘマトキシリン
  • オレンジG
  • EA-50

の染色液を用いた多重染色です。

 

核染色細胞質染色に分けると

理解しやすため、

それぞれについて解説していきます。

 

核染色

核染色には、塩基性色素の

ギルのヘマトキシリンが

関係します。

 

ヘマトキシリンの酸化により、

ヘマテインが生じ、

媒染剤中のアルミニウムイオンと

ラック(レーキ、錯体とも)を形成することで

正に帯電するため、

負に帯電している

核のリン酸基と結合し、

核が染色されます。

 

 

細胞質染色

細胞質の染色には、オレンジG、

エオジンY、ライトグリーンSFの

三種類の酸性色素が関係します。

 

いずれも酸性の色素ですが、

分子量の大きさが異なります。

分子量が大きい順に、

  1. ライトグリーンSF
  2. エオジンY
  3. オレンジG

です。

細胞質の構造密度が粗い部分には

全ての色素が入り込みますが、

分子量が大きいほど、

拡散しにくいため、

ライトグリーンに染まります

 

細胞質の構造密度が密な部分には

分子量の小さい色素が入り込むので、

拡散能にほとんど関係なく、

オレンジGに染まります

 

両者の中間的な性質をもつのが、

エオジンYです。

 

今回染色液の細かな組成に

ついての説明は省きますが、

これら3種類の色素の溶媒は、

95%エタノールを用います

 

 

Papanicolaou染色の手技

Papanicolaou染色の

手技やプロトコルは

各施設によって異なりますが、

今回は私が実験時に使っている

プロトコルを示します。

参考:月刊Medical Technology 別冊 最新染色法のすべて

 

  1. 固 定:95%エタノール
  2. 親 水:80%Al.                  10dip
  3. 親 水:70%Al.                  10dip
  4. 親 水:50%Al.     10dip
  5. 親 水:流水水洗     30秒
  6.  核 :ヘマトキシリン  5分
  7.  核 :流水水洗     5dip
  8. 分 別:0.5%塩酸70%Al.  10dip
  9. 色だし:流水水洗     3分
  10. 親 和:50%Al.     10dip
  11. 親 和:70%Al.                  10dip
  12. 親 和:80%Al.                  10dip
  13. 親 和:95%Al.                  10dip
  14. 細胞質:OG-6染色液     2分
  15. 分 別:95%Al.                  10dip 2槽
  16. 細胞質:EA-50染色液    3分
  17. 分 別:95%Al.                  10dip 2槽
  18. 脱 水:100%Al.      必要な分
  19. 透 徹:キシレン     必要な分
  20. 封入

といった感じで、研究室などでは

用手法で染色しています。

 

今回は固定時間について明記してませんが

固定時間は細胞像や染色性に影響を及ぼすので、

目的に応じて調整しましょう。

一般的には

固定は1週間以内が推奨されています

(参考:月刊Medical Technology 別冊 最新染色法のすべて)

 

 

試薬の濃度や染色時間に

細かな違いはあれど、

一般的な方法からは

逸脱していない

ベーシックな方法です。

 

Papanicolaou染色の染色結果

Papanicolaou染色は鮮やかな染色なので、

色素の染め分けを把握することが重要です。

 

染色結果は

  • 扁平上皮系細胞
    • 表層系:赤橙~桃色
    • 中層系:淡い青緑~緑色
    • 基底系:濃い青緑~緑色
  • 腺上皮系細胞:淡い緑色
  • 尿路上皮系細胞:青緑~緑色
  • 中皮系細胞:青緑~緑色
  • 核:青藍色
  • 核小体:赤~淡い青緑色
  • 赤血球:淡い赤~淡い緑色
  • 上皮性粘液:淡い紫~桃色 (2020.8.14追記)
  • 類脂質:淡い褐色
  • 細菌、真菌:淡い褐色

といった感じになります。

 

問題解説 技術-6【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

オダシ
オダシ
今回の選択肢を振り返ってみます

6.Papanicolaou染色について誤っているものはどれですか。

 

A.染色液色素の分子量の差と細胞質の分子構造の違いを利用した染色法である             

B.分子量の大きな色素は小さいものと比較して拡散速度が遅い                        

C.ギルのヘマトキシリン後の分別は10%塩酸70%アルコールで行う                                

D.オレンジGの調整には無水エタノールを用いる                                 

E.染色性は温度、湿度、水のpH等の様々な要因に影響を受ける

                                     

 

選択肢は

  1. A, B
  2. A, E
  3. B, C
  4. C, D
  5. D, E  

で、解答は4. C, Dです。

 

この問題は、Papanicolaou染色の基本

をおさえておけば問題ありません。  

 

選択肢の中で、

C.ギルのヘマトキシリン後の分別は10%塩酸70%アルコールで行う

は塩酸濃度は1%以下になるように

調製するのが良いです。

塩素濃度(≒塩酸濃度)が高いと、

ヘマトキシリンの脱色が起こってしまい、

観察に適した染色を得られません。

           

D.オレンジGの調整には無水エタノールを用いる

は誤解しがちですが、誤りです。

オレンジG自体はアルコールに溶けにくいため、

一旦水に溶かしてから、アルコールを加え

95%程度のアルコール濃度になるように調整します。

無水エタノールではオレンジGが溶解しないため、

注意しましょう。

 

まとめ:問題 技術-6【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-6」についてまとめてきました。

おさらいします。

  • 問題のテーマは「Papanicolaou染色の基本
  • 細胞診の誕生以来、消えないテーマです
  • 細胞検査士にとっては欠かせない知識です

皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。

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