こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に
細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、
後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。

というものです。
前の問題はこちら(2019年度 技術-6.Papanicolaou染色について誤っているものはどれですか)
次の問題はこちら(2019年度 技術-8.Papanicolaou染色について正しいものはどれですか) (2020.8.16追記)

目次
問題 技術-7【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

7.ゲノム診療におけるホルマリン固定パラフィン包埋組織検体の取り扱いについて誤っているものはどれですか。
A.手術により切除された組織は、遅くとも5時間以内に固定する
B.生検検体の固定時間は6~48時間が望ましい
C.硬組織を含む場合はEDTAによる脱灰が推奨される
D.複数の検体を薄切する際は、検体ごとにミクロトーム刃を交換する
E.ブロックは4℃で保管しなければならない
選択肢は
- A, B
- A, E
- B, C
- C, D
- D, E
で、解答は2. A, Eです。
ゲノム診療は普及過程にあり、
関連知識については、
日々アップデートが必要です。
本問のポイント
この問題のポイントは「ゲノム診療用検体の取り扱い」です。

ゲノム診療用検体の取り扱い
ゲノム診療において、
技師がかかわるのは、
主に検体の取り扱いです。
ゲノム診療においては
検体の固定時間や保存状態は、
大切なので押さえておきましょう。
がんゲノム診療用の検体の
取り扱いについては
日本病理学会の指針に則り、
羊土社から
が出版されています。
3000円くらいなので
細胞検査士認定試験の一次対策として、
研究室に一冊あってもいいですね。
病理学会が示した規定なので、
これがルールになります。
技師が関与する部分は
しっかりと頭に入れましょう。
おおよそ、
- 固定前プロセス
- 固定プロセス
- 固定後プロセス
に分けて理解すると良いです。
それぞれのプロセスで
細胞検査士が知っておくべきことを
まとめていきます。
固定前プロセス
固定前プロセスは細胞検査士が
かかわることはほとんどありません。
しかし、検体がゲノム診療に耐えうるかは
ここが勝負の分かれ目の一つです。
おさえておくポイントは
- 切除された組織は、速やかに4℃以下で保管し、遅くとも3時間以内に固定を行うこと
- 小型検体(生検やESDなど)は速やかに固定液に浸漬する
- 切除された組織は、摘出後30分以上室温放置することは極力避ける
ことです。
特に固定までの時間は
意識するようにしましょう。
固定プロセス
固定プロセスにおいては、
技師の時間管理が大切です。
おさえておくポイントは
-
- 10%中性緩衝ホルマリンを用いる
- 組織検体(手術検体、生検検体とも)は6~48時間の固定が望ましい
- 固定時の温度は室温でよい固定不良は回避する
です。
固定後プロセス
固定後の薄切や、ブロックの保管は
技師の責任が重いです。
このプロセスで
おさえておくポイントは
- 脱灰にはEDTAを用いる
- 薄切時にはコンタミを避けるため、検体ごとにミクロトームの刃を交換する
- ブロックの保管は室温で良いが、多湿を避け、冷暗所が望ましい
です。
重ねてですが、
それぞれのプロセスで
技師が関与するところは
おさえておきましょう。
問題解説 技術-7【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

7.ゲノム診療におけるホルマリン固定パラフィン包埋組織検体の取り扱いについて誤っているものはどれですか。
A.手術により切除された組織は、遅くとも5時間以内に固定する
B.生検検体の固定時間は6~48時間が望ましい
C.硬組織を含む場合はEDTAによる脱灰が推奨される
D.複数の検体を薄切する際は、検体ごとにミクロトーム刃を交換する
E.ブロックは4℃で保管しなければならない
選択肢は
- A, B
- A, E
- B, C
- C, D
- D, E
で、解答は2. A, Eです。
この問題は、
の記述を確実に
おさえるようにしましょう
選択肢の中で、
A.手術により切除された組織は、遅くとも5時間以内に固定する
は、摘出後から固定までの時間は
遅くとも3時間以内と規定されているため、
誤った選択肢です。
E.ブロックは4℃で保管しなければならない
は、ブロックができた後の保管は
室温でよいので誤った選択肢です。
まとめ:問題 技術-7【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-7」についてまとめてきました。
おさらいします。
- 問題のテーマは「がんゲノム診療用検体の取り扱い」です
- 近年出題されるようになってきたテーマです
- 今後病理業務にかかわるなら必須の知識です