こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に 細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、 後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。
というものです。
目次
細胞の構造
動物の細胞は細胞膜に覆われ、細胞質内に核をはじめとした多くの細胞小器官が浮かぶような構造です。
細胞を知れば、生物学や医学、病理・細胞診を学ぶ基礎が完成します。
基礎だからと言って侮らないことがキモです。
知っておきたい細胞小器官の分類
生物学や病理細胞診で知っておくべき細胞小器官をおさえていきましょう。
- 細胞膜
- 細胞質
- ミトコンドリア
- ゴルジ体
- 細胞骨格
- 中心体
- リソソーム
- 液胞
- 小胞体
- リボソーム
- 核
- 核小体
ざっくりこれだけ覚えておけば問題ありません。
それぞれ解説していきます。
細胞膜
細胞膜とは細胞の内外を分け、細胞の周りを覆う膜のことで、
リン脂質の二重構造から構成されています。
細胞は酵素や受容体を有するが、
これらは細胞膜上でモザイク状に配置され流動性があります。
タンパク質や脂質と結合した糖の鎖が、細胞膜の外側にあり、
これによって細胞が相互に結びついています。
電顕的には3疎水層、親水層、疎水層の3層に見えますが、
脂質の重積自体はそれぞれの面に向き合う2層となります。
細胞質
細胞質とは細胞膜内で蛋白、塩類など多くの物質を溶解している溶媒のことで、
70%は水分からなり、細胞小器官を包み込んでいます。
細胞質の塩濃度やpHは細胞膜上のタンパクを介して調節されています。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは生体内で、主にATPの生産を行う二重膜構造の細胞小器官である。
ATP産生は細胞質基質での解糖系(2分子)、ミトコンドリアでのTCA回路・電子伝達系(36分子)で行われる。
カルシウムの貯蔵や、アポトーシスの制御等の役割も担っている。
外膜には特色がなく、内膜は、内側に向かって入り込んだひだ状の構造(クリステ)を持つ。
ミトコンドリアは体細胞のDNAとは異なる独自の環状DNA(ミトコンドリアDNA)をもっており、これは必ず母親から引き継がれる。
ゴルジ体
ゴルジ体は、タンパク質の修飾や分泌を担っている細胞小器官である。
リボソームや小胞体でから運ばれてきたタンパク質はゴルジ体を通過し、タンパク質に糖鎖が付加され分泌(ゴルジ小胞)される。
ゴルジ小胞によって、各層間や周辺の細胞小器官との物質の授受が行われている。
ゴルジ体は、細胞分裂時に全体が数百の小胞に分断され、細胞全域に分散する。
細胞分裂が完了すると、集合して再構成される。
細胞骨格
細胞骨格は、細胞内の繊維状構造のことで、細胞小器官の配置や細胞自身の変形を行う重要な細胞小器官です。
主に3種類の細胞骨格(マイクロフィラメント、中間径フィラメント、微小管)があります。
それぞれ解説していきます。
マイクロフィラメント
直径は5〜9nm程度で、2つのアクチン鎖が縒り合わさって構成されています。
マイクロフィラメントのほとんどは細胞膜の直下に集中しており、
- 張力に抵抗する
- 細胞の形を保つ
- 細胞質突起を形成する
- 細胞間や細胞-基質間の接合に関わる
などの役割を果たしている。
これらは細胞質分裂にも重要な役割を果たす。
マイクロフィラメントの実体は、アクチンが重合したものです。
そのためマイクロフィラメントは別名、アクチンフィラメントとも呼ばれます。
高校生物的にはミオシンと協同して横紋筋を作ることは確実に知っておきたいところです。
中間径フィラメント
直径8〜12nm程度で、細胞質中の複数種の構成要素である。
細胞の形態を保つ働きがあり、細胞間や細胞-基質間接合にも関わる。
中間径フィラメントには、いくつか種類がありますが
- ビメンチン:
- ケラチン:
- ニューロフィラメント:
- ラミン:
の4つだけ覚えれば十分です。
詳細な解説はこちらにまとめています。
微小管
直径は約25nm程度で、ほとんどの共通構造として、
α・βチューブリンが互いに結合したプロトフィラメント13本からなり、
中心体によって統合されます。
中心体(中心小体)
中心体とは、短い微小管から構成され、細胞分裂時には紡錘体形成の中心となる細胞小器官です。
リソソーム
リソソームは細胞内で不要物質の分解に働き、加水分解酵素を持つ。
主な加水分解酵素として、
①酸性ホスファターゼ
②蛋白分解酵素: プロテアーゼ、コラゲナーゼ、ペプシナーゼ、カテプシンなど
③脂質分解酵素: ホスホリパーゼ、エステラーゼなど
④核酸分解酵素: リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ
⑤ムコ多糖類
の分解酵素があります。
液胞
液胞は、細胞内で多くの機能を持っており、
一般的に次のようなものが含まれます。
- 細胞に有害または脅威となる物質の隔離
- 不要物の保管
- 内部の静水圧または細胞の膨圧の維持
- 内部のpHを酸性に維持
- 低分子の保管
- 不要物の細胞からの排出
以上に加え、余談となるが液胞はオートファジーにおいても主要な役割を果たし、
多くの物質や細胞内構造体の生合成と分解の平衡を維持していることは知っておいてもよい。
小胞体
小胞体は、タンパク質合に関する細胞小器官で、膜に包まれた袋状の構造を持ち、
相互につながり合って細胞内部に網状に広がっている。
小胞体には表面にリボソームが付着した粗面小胞体、およびリボソームが付いていない滑面小胞体の2種類がある。
この2種類について解説していきます。
粗面小胞体
小胞体の一つの形態で、膜表面にリボソームが多数付着している。
膜タンパク質、リソソームタンパク質、分泌タンパク質などの合成の場となり、
大量の分泌タンパク質を産生している膵臓や唾液腺の細胞は粗面小胞体が発達している。
滑面小胞体
小胞体の一つの形態で、膜表面にリボソームが結合していない。
脂質成分の合成や脂肪酸の不飽和化など、脂質代謝系の酵素や薬剤や有毒化合物の解毒に働く各種の酵素を含んでおり、カルシウムの貯蔵も行う。
ステロイドホルモン産生細胞や肝細胞、筋細胞では滑面小胞体が発達している。
リボソーム
リボソームは、直径が20ナノメートル程度の粒状の器官で、RNAとタンパク質から構成される。
細胞質に浮遊しているものと、粗面小胞体の表面に付着しているものがある。
リボソームの機能は、mRNAの持つ遺伝情報に従って、アミノ酸をペプチド結合させていくことである(翻訳)。
核
真核細胞では、核は二重の核膜で保護されています。
個々の細胞が持つ生命活動の情報を遺伝子といい、
核の内部に染色体(≠ゲノム)が格納されています。
遺伝子はDNAの塩基を並び方によって表現されており、これが凝縮したものが染色体となります。
ゲノムとは過不足のない全ての遺伝子情報を指す。
核の内部で遺伝子の複製、転写が行われます。
核膜は核と細胞質の境界をなす、内膜と外膜の二重構造を示す。
この2枚の膜が融合した部分は核膜孔と呼ばれ、核形質と細胞形質の物質交換の重要な場所である。
最近はゲノム医療の台頭がみられるので、定義があやふやだと人命にかかわります。
怠慢のないように努めましょう。
核小体
核小体は核の中にあり、リボソームRNAやリボソームの合成場所である。
RNAが主成分で、活発に機能する細胞では大型である。
間期に見られることがポイント。
細胞小器官は病理・細胞診のみならず細胞生物学一般の基礎知識となります。
基礎と侮らず知識の定着を完全に行いましょう。
まとめ
「細胞小器官の種類と働き」についてまとめてきました。 おさらいします。
- テーマは「細胞小器官の把握」です
- 細胞小器官は基礎知識として定着させましょう
- 定期的な知識のメンテナンスを行いましょう
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。