こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に
細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、
後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。

というものです。
前の問題はこちら(2019年度 技術-11.ホルムアルデヒドについて正しいものはどれですか)
次の問題はこちら(2019年度 技術-12.Giemsa染色について誤っているものはどれですか)

目次
問題 技術-12【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

- NDフィルターは光量のみを少なくする
- 光軸調整は、「開口絞り」、「視野絞り」、「コンデンサー」の調整が必要である
- 開口絞りの設定は、対物レンズの開口数の70~80%程度にする
- 分解能とは試料にピントを合わせたとき、同時にはっきり見える上下の距離である
- コントラストは開口絞りによって変化する
で、解答は4. です。
顕微鏡は細胞検査士にとって
商売道具の一つです。
周辺知識や取り扱いはしっかりと
身につけましょう。
本問のポイント
この問題のポイントは「顕微鏡の取り扱い」です。

顕微鏡の取り扱い
顕微鏡の取り扱いについて
押さえておくべき知識は
おおよそこちらの記事
(2019年度 技術-2.対物レンズについて正しいものはどれですか)
の知識が身についていれば
問題ありません。
追加知識としては、
- フィルターの種類
- レンズ収差
を知っておきましょう。

フィルターの種類
フィルターを使用する目的は、
光源にかかわらず、
自然な色を観察できるように、
色温度や明るさを調整する
ことです。
知っておくべきフィルターの
種類としては、
- LBDフィルター
- NDフィルター
- 昼光用フィルター
- グリーンフィルター
です。
顕微鏡によっては標準で
フィルターがついているものが
あります。
自分が使っている顕微鏡については
知っておくとよいでしょう
LBDフィルター
LBDフィルターは色温度変換フィルター
とも呼ばれます。
一般に、顕微鏡による標本観察には、
色温度が5500K(太陽光や白色光)
くらいが適切といわれています。
通常、光学顕微鏡にはハロゲンランプが
光源として用いられますが、
ハロゲンランプは色温度が3200Kほどで
黄色味を帯びた光で、そのままでは
標本観察や写真撮影には不向きです。
ここにLBDフィルターを使うと、
色温度が上昇し、
太陽光のような色合いの光で
標本観察や写真撮影が可能になります。
NDフィルター
NDフィルターは減光フィルター
とも呼ばれます。
鏡検時に光源が明るすぎると
適切な判定ができません。
しかし、光量を電圧で調整すると
色温度が変化し、赤みを帯びた
光になってしまい、
判定に支障が出ます。
そのため、電圧を維持したまま、
光量を下げたいときにNDフィルター
が用いられます。
昼光用フィルター
昼光用フィルターは、性質として、
LBDフィルターに似ています。
しかし、中身はよくある
ブルーフィルターなので、
写真撮影には向かない点に
注意が必要です。
グリーンフィルター
グリーンフィルターは、
位相差の観察やモノクロ写真の
撮影時に、コントラストを
増強する目的で使用されます。
それぞれのフィルターの
特徴や使用目的は、臨床でも
役立つので、押さえておきましょう。
レンズ収差
レンズ収差は、
光がレンズを通過する際に、
光軸からの距離や波長の違いに
よって生じる、結像位置のズレ
を指します。
レンズ収差には、
色に関連する収差と、
同波長で生じる単色収差
があります。
検査士試験で聞かれるかは
微妙なラインですが、
- 色収差
- 球面収差
- コマ収差
- 非点収差
- 像面湾曲収差
- 像面歪曲収差
が、あることを
知っておくとよいでしょう。
レンズ収差の補正の強度によって
対物レンズの性能も分けられます。
- アクロマート
- セミアポクロマート
- アポクロマート
- プラン
- プラン・アクロマート
- プラン・アポクロマート
これらのグレードの違いがあり、
プラン・アポクロマートが
最高級の対物レンズです。
覚え方のポイントとしては、
どのレンズ収差を補正するのか
を考えてみると良いです。
①アクロマートは、
赤と青の色収差
を補正します。
②アポクロマートは、
赤と青と紫の色収差
を補正します。
③プランは、
像面湾曲収差
を補正します。
①~③を合わせると
プラン・アポクロマートは
- 赤と青と紫の色収差
- 像面湾曲収差
を補正するため、
良いレンズといえます。
問題解説 技術-12【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

- NDフィルターは光量のみを少なくする
- 光軸調整は、「開口絞り」、「視野絞り」、「コンデンサー」の調整が必要である
- 開口絞りの設定は、対物レンズの開口数の70~80%程度にする
- 分解能とは試料にピントを合わせたとき、同時にはっきり見える上下の距離である
- コントラストは開口絞りによって変化する
で、解答は4. です。
この問題は、正答するだけであれば、
以前解説した、こちらの記事(2019年度 技術-2.対物レンズについて正しいものはどれですか)
の知識が身についていれば
問題ありません。
4.分解能とは試料にピントを合わせたとき、同時にはっきり見える上下の距離である
は、焦点深度の説明なので、
誤った選択肢です。
分解能は、微小な二点間を識別できる
最小距離です。
まとめ:問題 技術-12【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-12」についてまとめてきました。 おさらいします。
- 問題のテーマは「顕微鏡の取り扱い」
- 病理業務とは切り離せないテーマです。
- 病理に携わる技師には不可欠な知識です
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。