細胞診 臨床検査

【基本から解説】免疫染色をやってみる(順次追記予定)(2020.9.28追記)

目次

免疫染色の染色手技

ここでは、酵素抗体法で用いられる

一般的な染色手技についてまとめます。

 

私が実験時に用手法で免疫染色を行う時には、

以下のプロトコルで染色を行います。

研究上の都合があるため、詳細部分については

伏せさせていただきますが、ご了承ください。

  1. 脱パラフィン 必要に応じて
  2. 抗原賦活処理
  3. 流水水洗
  4. 内因性ペルオキシダーゼのブロッキング
  5. pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)
  6. 非特異反応のブロッキング
  7. pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)
  8. 一次反応(酵素抗体反応)
  9. pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)
  10. ペルオキシダーゼ標識抗体を反応させる(湿潤箱、抗体より時間をかえます)
  11. pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)
  12. DABを用いて発色反応
  13. 流水水洗
  14. 核染色(ヘマトキシリン染色)
  15. 流水水洗
  16. 脱水、透徹、封入

といった感じで染色を行っています。

 

それぞれの段階について解説していきます。

脱パラフィン(2020.9.15追記)

通常のHE染色の要領で行えば、

問題ありません

 

多くは5分程度で

キシレン3槽を行うと思います。

 

キシレンの最終槽の後に

100%エタノールから

70%エタノールまで

下降系列を順に通していきます。

 

研究室などで薄切後から染色まで

1週間以上(抗原によっては2,3日以上)期間が

空く場合には、パラフィンで薄切標本を

シールすることで抗原性の劣化を低減できます

保存は高温多湿を避け、暗所で行いましょう。

この場合は通常の脱パラフィン系列では不十分のため、

余裕をもって、脱パラフィンを行いましょう。

 

 

抗原賦活処理(2020.9.18追記)

通常、病理検査に提出される検体は

ホルマリン固定されています。

 

ホルマリン系の固定液は蛋白を

メチレン架橋することで検体を

固定していますが、

蛋白がメチレン架橋されると、

立体構造が変化し、

抗原決定基(エピトープ)が

マスキングされ、抗体との反応が

起きにくくなります。

 

そのため目的とする抗原によっては

マスキングを除去し、

抗原決定基を露出させ、

円滑に抗体との反応を

行うための処理(抗原賦活処理)

が必要です。

 

病理検査で用いられる

抗原賦活処理には、

  • 蛋白分解酵素処理
  • 蛋白変性処理
  • 加熱処理

などがあります。

 

それぞれ説明していきます。

 

蛋白分解酵素処理

用いる分解酵素により、

特定のペプチド結合を切断し、

抗原決定基を露出させる方法です。

 

用いられる酵素には、

  • 0.05~0.4%ペプシン
  • 0.05~0.2%トリプシン
  • 0.05%プロテアーゼ
  • 0.02~0.04%プロテアーゼK

などがあります。

 

用いる酵素の選択や

濃度調整をミスると、

抗原決定基内の結合も

切断され、抗原抗体反応が起きず、

免疫染色が失敗してしまうため、

注意が必要です

 

蛋白変性処理

ギ酸や塩酸、尿素などを用いて、

蛋白の高次構造を

破壊(変性)し、抗原決定基を

露出させる方法です。

 

アミロイドβやプレアルブミンなど

を目的に免疫染色を行う場合に、

汎用される抗原賦活処理です。

 

加熱処理

メチレン架橋を加熱によって

切断するのが加熱処理です。

 

メチレン架橋が切断された蛋白は

穏やかな冷却により、伸展し、

元の構造へ再構成されます。

 

加熱処理の方法は

  • マイクロウェーブ法
  • オートクレーブ法
  • 圧力なべ法
  • 温浴槽法

などがあります。

 

それぞれ一長一短のため、

研究室では免疫染色の目的に

応じて使い分けています。

 

マイクロウェーブ法は簡便ですが、

加熱のムラが起こりやすいです。

 

オートクレーブ法や圧力なべ法は

加熱のムラはできにくいですが、

圧力変化や冷却の操作に時間がかかるため、

切片がはがれやすいです。

 

温浴槽法は、

操作自体は簡便ですが、

賦活液が大量に必要であったり、

切片がはがれやすいなどデメリット

もあります。

 

 

免疫染色の抗原賦活処理については

各施設で色々な方法を試行し、

最適な方法を探すとよいでしょう。

 

流水水洗(2020.9.20追記)

ここの流水水洗は省略が可能です。

省略したかで次のブロッキング操作での

手技を変える方もいます。

 

 

内因性ペルオキシダーゼのブロッキング(2020.9.21追記)

免疫染色においては

ペルオキシダーゼがDABと

反応し、茶褐色に染色されます。

 

内因性ペルオキシダーゼの

阻止(ブロッキング)を行わない場合は、

目的とする抗原の標識酵素活性か

内因性ペルオキシダーゼの活性か

鑑別が困難になります。

 

内因性ペルオキシダーゼには

炎症細胞由来のペルオキシダーゼや

赤血球由来のペルオキシダーゼ類似酵素

などが含まれます。

 

内因性ペルオキシダーゼの

阻止(ブロッキング)には

  • 0.3%過酸化水素加メタノール (室温30分)
  • 3%過酸化水素(室温5~10分)
  • 1%過ヨウ素酸(室温10分)
  • アジ化ナトリウム

などを用いる方法があります。

 

注意点として過酸化水素は

漂白剤としても用いられるため、

その酸化力によって抗原の

エピトープを破壊することがあります。

内因性ペルオキシダーゼの阻止のために

過酸化水素を用いる場合には、

一次抗体を反応させたのちに

内因性ペルオキシダーゼの阻止

を行う必要があります。

 

 

pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)(2020.9.21追記)

流水水洗で置き換えることができます。

 

非特異反応のブロッキング(2020.9.28追記)

非特異反応のブロッキングは、

反応させた抗体が目的組織以外の

電荷物質や免疫グロブリン、補体など

に非特異的に結合することを

防止するために行います。

 

ブロッキングには、

  • 5~10% スキムミルク
  • 1~5% ウシ血清アルブミン
  • 1~5% 正常血清
  • カゼイン溶液

などを使います。

私が研究室で免疫染色を行う時には、

5% スキムミルクを使っています。

 

市販品の抗体希釈液には動物血清が

含まれているものもあるため、

この工程を省略することも可能です。

 

pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)

後日追記予定

一次反応(酵素抗体反応)

後日追記予定

pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)

後日追記予定

ペルオキシダーゼ標識抗体を反応させる(湿潤箱、抗体より時間をかえます)

後日追記予定

pH7.2リン酸緩衝液(0.01M)

後日追記予定

DABを用いて発色反応

後日追記予定

流水水洗

後日追記予定

核染色(ヘマトキシリン染色)

後日追記予定

流水水洗

後日追記予定

脱水、透徹、封入

後日追記予定

 

まとめ:免疫染色

今回は「免疫染色」についてまとめてきました。 

  • 病理・細胞診業務と免疫染色は切り離せません
  • 細胞検査士にとっては欠かせない知識です

皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。

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こんにちは、オダシ(@OdaCM_T)です。 普段は臨床検査・病理・細胞診関連の大学教員をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。   私は臨床検査技師の ...

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