細胞診 臨床検査

【知ってる⁉】特殊染色の目的 問題解説 技術-14【第52回 細胞検査士認定試験 一次筆記試験】(2020.8.26追記)

こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。

普段は大学病院の臨床検査技師、医療系大学院生(D1)をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。

この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に

細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。

その後、大学院に進学し、

後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。  

 

学生たちから、こんな要望がありました。

一次試験の対策を始めたのですが、この知識で十分なのか分からないので解説してほしい。
男子学生
男子学生

というものです。  

 

前の問題はこちら(2019年度 技術-13.Giemsa染色について誤っているものはどれですか)

次の問題はこちら(2019年度 技術-15.真菌の染色法として誤っているものはどれですか)(2020.8.26追記)    

 

オダシ
オダシ
さっそく解説していきます

 

目次

問題 技術-14【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

オダシ
オダシ
問題文を見ていきましょう

14.染色法で誤っている組み合わせはどれですか。

  1. PAS染色 ― 赤痢アメーバ
  2. Mucicarmine染色 ― Cryptococcus
  3. Alcian blue染色 ― 酸性ムコ多糖類
  4. SudanⅢ染色 ― 中性脂肪
  5. Nile Blue染色 ― Helicobacter pylori

で、解答は5. です。  

特殊染色の目的を知っておくと、

美しい染色を行うことができ、

判定も容易になります。  

本問のポイント

この問題のポイントは「特殊染色の目的」です。

オダシ
オダシ
細胞検査士が業務を行う上では顕微鏡は欠かせません

特殊染色の目的

先日解説したGiemsa染色もそうですが、

特殊染色には染色の目的があります。

目的を十分に把握せずに染色を行うと、

最終的には誤診に繋がります。

 

染色の目的を達成することが、

技師の役割の一つです。

しっかりと押さえておきましょう。

 

目的ごとにまとめると、

  • 結合組織染色
  • アミロイド染色
  • 核酸染色
  • 脂肪染色
  • 生体内色素染色
  • 線維素染色
  • 酵素染色
  • 神経染色
  • 病原体染色
  • 生体内金属染色
  • 多糖類染色

くらいは押さえておきたいところです。

染色目的ごとに、

行う特殊染色を列挙します。

 

後日特殊染色のまとめを、

上げる予定です。

 

結合組織染色

結合組織の染色は、

目的とする線維の種類に

応じて、行う染色を選択します。

結合組織には、

  • 膠原線維
  • 弾性線維
  • 細網線維
  • 基底膜

などがあります。

 

それぞれを目的とする

特殊染色は、

膠原線維

  • アザン染色
  • マッソン・トリクローム染色

 

弾性線維

  • エラスチカ・ワンギーソン染色
  • ビクトリアブルー染色
  • オルセイン染色
  • アルデヒド・フクシン染色

 

細網線維

  • 渡辺の鍍銀染色

 

基底膜

  • PAM染色

 

などです。

 

アミロイド染色

アミロイド染色は、

皮膚アミロイドの染色性によって、

  • コンゴーレッド染色
  • ダイレクト・ファースト・スカーレット染色

を使い分けます。

 

核酸染色

核酸染色は、

RNA証明の必要性によって、

  • フォイルゲン反応
  • メチルグリーン・ピロニン染色

を使い分けます。

 

脂肪染色

脂肪染色は、

中性脂肪のみならず、

リン脂質やコレステリンの

存在証明の必要性によって、

  • SudanⅢ染色
  • オイルレッド染色
  • Sudan black B染色
  • Nile Blue染色

を使い分けます。

 

生体内色素染色

生体内色素の染色は、

目的とする色素の種類に

応じて、行う染色を選択します。

生体内色素には、

  • リポフスチン
  • 胆汁色素
  • メラニン

などがあります。

 

それぞれを目的とする

特殊染色は、

リポフスチン

  • シュモール反応

 

胆汁色素

  • ホール法

 

メラニン

  • フォンタナ・マッソン染色
  • 漂白法
  • ギムザ染色

などです。

 

線維素染色

線維素染色は、

線維素のみならず、

横紋筋線維や神経膠細胞の

存在証明の必要性によって、

  • リンタングステン酸ヘマトキシリン染色
  • ワイゲルトの線維素染色
  • レンドラム・フレイザー染色

を使い分けます。

 

酵素染色

酵素染色は、

目的とする酵素によって、

  • アルカリホスファターゼ染色
  • 酸ホスファターゼ染色
  • ペルオキシダーゼ染色
  • ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼ染色

を使い分けます。

 

神経染色

神経染色は、

目的とする細胞や成分によって、

  • クリューバー・バレラ染色
  • ゴルジ染色
  • ボディアン染色
  • ホルツァー染色
  • カハール染色
  • Sudan black B染色

などを使い分けます。

 

補足として、

内分泌細胞の染色には

グリメリウス染色や

ゴモリのアルデヒド・フクシン染色

が用いられます。

 

病原体染色

病原体の染色は、

目的とする病原体の種類に

応じて、行う染色を選択します。

対象となる病原体には、

  • 赤痢アメーバ
  • 一般細菌
  • 抗酸菌
  • Helicobacter pylori
  • 梅毒スピロヘータ
  • 真菌
  • 肝炎ウイルス

などがあります。

 

それぞれを目的とする

特殊染色は、

赤痢アメーバ

  • PAS染色
  • グリドレイのアメーバ染色

 

一般細菌

  • グラム染色
  • レフレルのメチレンブルー染色

 

抗酸菌

  • チール・ネルゼン染色
  • 原田法

 

Helicobacter pylori

  • ギムザ染色
  • ワルチンスターリー染色

 

梅毒スピロヘータ

  • ワルチンスターリー染色

 

真菌

  • グロコット染色
  • グリドリー染色
  • Mucicarmine染色
  • PAS染色
  • ラクトフェノールコットン染色
  • ベストのカルミン染色

 

肝炎ウイルス

  • オルセイン染色
  • ビクトリアブルー染色
  • アルデヒド・フクシン染色

 

生体内金属染色

生体内金属の染色は、

目的とする金属の種類に

応じて、行う染色を選択します。

対象となる金属には、

  • カルシウム

などがあります。

 

それぞれを目的とする

特殊染色は、

カルシウム

  • コッサ反応
  • ダールのカルシウム染色

 

  • ベルリンブルー染色

 

  • パラジメチルアミノベンチリデンロダニン法
  • ルベアン酸法

 

などがあります。

 

多糖類染色

多糖類染色は、

目的とする多糖類の

pHや上皮性か間質性かによって、

  • PAS染色
  • Alcian blue染色
  • Mucicarmine染色
  • コロイド鉄染色
  • トルイジンブルー染色

などを使い分けます。

 

 

問題解説 技術-14【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

オダシ
オダシ
今回の選択肢を振り返ってみます

14.染色法で誤っている組み合わせはどれですか。

  1. PAS染色 ― 赤痢アメーバ
  2. Mucicarmine染色 ― Cryptococcus
  3. Alcian blue染色 ― 酸性ムコ多糖類
  4. SudanⅢ染色 ― 中性脂肪
  5. Nile Blue染色 ― Helicobacter pylori

で、解答は5. です

この問題は、特殊染色の目的

をおさえておけば問題ありません。  

 

選択肢の中で、

5.Nile Blue染色 ― Helicobacter pylori

は、Nile Blue染色は脂肪を染める特殊染色で、

Helicobacter pylori を染めるには、

ギムザ染色や、ワルチンスターリー染色を

用いるため、誤った選択肢です。

 

まとめ:問題 技術-14【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-14」についてまとめてきました。 おさらいします。

  • 問題のテーマは「特殊染色の目的
  • 病理業務から特殊染色を切り離すことは難しい
  • 目的を把握すると業務が効率よくなります

皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。

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こんにちは、オダシ(@OdaCM_T)です。 普段は臨床検査・病理・細胞診関連の大学教員をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。   私は臨床検査技師の ...

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