こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に
細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、
後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。

というものです。
前の問題はこちら(2019年度 技術-12.顕微鏡について誤っているものはどれですか)
次の問題はこちら(2019年度 技術-14.染色法で誤っている組み合わせはどれですか) (2020.8.25追記)

目次
問題 技術-13【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

13.Giemsa染色について誤っているものはどれですか。
- 塗抹後は急速に乾燥する
- ギムザ原液にはエオジンが入っている
- ギムザ原液の希釈液には酢酸緩衝液を用いる
- ギムザ液の希釈は染色の直前に行う
- ロマノフスキー効果により多種の色調が得られる
で、解答は3. です。
Giemsa染色は細胞診において、
Papanicolaou染色と肩を並べる、
メジャーな染色です。
活用できるようにしましょう。
本問のポイント
この問題のポイントは「Giemsa染色の特徴」です。

Giemsa染色の特徴
Giemsa染色は
「Papanicolaou染色の弱点をカバーするための染色で
体腔液や血液系の疾患を診断するのに非常に重要な
染色の一つ」
と意義付けられています。
また、他の染色法に比べ、
- 細胞剥離が少ない
- ネタクロマジーを示す
- 分泌顆粒などの証明が良好
なども、Giemsa染色の
意義と考えられえます。
Giemsa染色について、
細胞検査士が知っておくべき
知識について、解説していきます。
Giemsa染色の原理
Giemsa染色は、
- メチレンブルー
- アズール
- エオジン
の混合物を用いた染色です。
メチレンブルー、アズールは塩基性色素、
エオジンは酸性色素です。
メチレンブルーは、
好塩基性成分と結合し、
淡い青色に染まります。
アズールは正に荷電し、
負に荷電している
核のDNAリン酸基と結合し、
紫色に染まります。
エオジンは負に荷電し、
正に荷電している
好酸性成分と結合し、
赤色に染まります。
Giemsa染色の手技
Giemsa染色の
手技やプロトコルは
各施設によって異なりますが、
今回は私が実験時に使っている
プロトコルを示します。
参考:月刊Medical Technology 別冊 最新染色法のすべて
- 固定・染色:メイグリュンワルド原液 3分
- 染 色:10倍希釈pH6.4リン酸緩衝液 3分
- 流水 水洗: 30秒
- 後 染 色:ギムザ染色液 30分
- 流水 水洗: 30秒
- 乾 燥:急速冷風乾燥
- 透 徹:キシレン 3槽
- 封 入:マリノール
といった感じで、研究室などでは
用手法で染色しています。
試薬の濃度や染色時間に
細かな違いはあれど、
一般的な方法からは
逸脱していない
ベーシックな方法です。
注意点としては
- 塗抹後は急速に冷風乾燥すること
- ギムザ染色液は使用直前に調整すること
が必要です。
Giemsa染色の染色結果
Giemsa染色はPapanicolaou染色では
観察しにくい部分を、
観察することが重要です。
目的物が染まっていることは
しっかり確認しましょう。
染色結果は
- 細胞質:淡い青~青藍色
- 核:紫色
- 核小体:淡い青~濃い青色
- 間質性粘液・基底膜様物質:薄赤~赤紫色
といった感じになります。
多様な染色性がみられることを
ロマノフスキー効果といいます。
問題解説 技術-13【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

13.Giemsa染色について誤っているものはどれですか。
- 塗抹後は急速に乾燥する
- ギムザ原液にはエオジンが入っている
- ギムザ原液の希釈液には酢酸緩衝液を用いる
- ギムザ液の希釈は染色の直前に行う
- ロマノフスキー効果により多種の色調が得られる
で、解答は3. です。
この問題は、Giemsa染色の特徴
をおさえておけば問題ありません。
選択肢の中で、
3.ギムザ原液の希釈液には酢酸緩衝液を用いる
は、ギムザ原液の希釈にはpH6.4リン酸緩衝液
を用いるため、誤った選択肢です
まとめ:問題 技術-13【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-13」についてまとめてきました。
おさらいします。
- 問題のテーマは「Giemsa染色の特徴」
- 細胞診を行う上ではPapanicolaou染色と肩を並べる染色です。
- 特徴を押さえておくと判定に役立ちます
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。