細胞診 臨床検査

【基本から解説】免疫染色をやってみる(順次追記予定)(2020.9.28追記)

目次

免疫染色の原理

免疫染色には、

広くは、放射性同位体を標識するものや

重金属を標識するものがありますが、

汎用される酵素抗体法の原理について

まとめていきます。

 

酵素抗体法は、

抗原抗体反応をベースに、

抗原と結合した抗体の局在を

酵素を用いて証明する

方法です。

 

このとき、反応に用いる酵素には

  • ペルオキシダーゼ
  • アルカリホスファターゼ
  • グルコースオキシダーゼ

などがあります。

 

各酵素によって、

使用できる発色剤(DABなど)が

変わってくるので、

染色前にプロトコルを

検討することが大切です。

 

酵素抗体法の原理には、

一般的に知られているものとして

  • 直接法
  • 間接法

があります。

 

今回は免疫染色の目的を、

「抗原Aの局在証明」

とします。

 

直接法

抗原Aに対する抗A抗体を酵素で標識します。

その後、酵素標識抗A抗体と抗原Aを

反応させ、標識した酵素を発色させると、

抗原Aの局在を証明できます。

 

この方法のメリットは、

  • 方法が簡便である

ことが挙げられますが、

 

デメリットとして、

  • 間接法と比較すると反応感度が低い
  • 標識酵素の種類が限られる

ことが挙げられます。

 

 

間接法

はじめに抗原Aに抗A抗体(一次抗体)を反応させる。

更に抗A抗体に対する酵素標識抗体(二次抗体)

を反応させ、標識した酵素を発色させると

間接的に抗原Aの局在を証明できます。

 

この方法のメリットは、

  • 直接法と比較すると反応感度が高い

ことが挙げられますが、

 

デメリットとして、

  • 手間、時間がかかる
  • 非特異反応が生じ、背景が共染する

ことが挙げられます。

 

 

 

参考書や手引きによって違いはありますが、

一般的に検査技師や細胞検査士が

知っておくべき基本的な

酵素抗体法は

  • ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(PAP)法
  • アビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体(ABC)法
  • ポリマー法

です。

 

ほかにも、増感剤を使用する方法もありますが、

基本を押さえてから発展へと移りましょう。

 

それぞれを軽く説明します。

 

ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(PAP)法

個人的には、ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ法は

直接法と間接法の間に位置する方法と認識しています。

手技自体は間接法ですが、二次抗体に標識を行いません

 

二次抗体反応後に、一次抗体で用いた動物と

同じ動物種から作られた、

ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ複合体を

二次抗体に反応させ、発色させます。

 

抗原A 1つに対しておおよそ、

3つのペルオキシダーゼが結合するため

直接法よりは検出感度が高くなります。

 

 

 

アビジン・ビオチン化酵素複合体(ABC)法

個人的には、アビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体法は

反応強度が強く、実験の用手法で使うイメージが強いです。

 

一次抗体にビオチンで標識した二次抗体を反応させ、

更にそこへアビジンとビオチン化酵素の複合体

を反応させ、発色します。

 

アビジン・ビオチン化酵素の大きさによりますが、

一つの二次抗体に多量の酵素が結合した状態のため、

抗原の検出感度が高いことが特徴です。

 

 

ポリマー法

個人的には、ポリマー法は

反応強度が強い割には、手技が簡便なイメージです。

 

ポリマーに二次抗体と酵素が結合しており、

二次抗体反応後、酵素発色をすることで

抗原を検出できます。

 

ABC法同様、一つの抗原に多量の酵素が

結合するため、検出感度が高いです。

 

 

続いて免疫染色の手技についてまとめていきます。

 

 

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こんにちは、オダシ(@OdaCM_T)です。 普段は臨床検査・病理・細胞診関連の大学教員をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。   私は臨床検査技師の ...

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