こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。
この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に 細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。
その後、大学院に進学し、 後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。
学生たちから、こんな要望がありました。
というものです。
前の問題はこちら(2019年度 第52回 総論-11.誤っている組み合わせはどれですか)
次の問題はこちら(2019年度 第52回 総論-13.誤っているものはどれですか)
目次
問題 総論-12【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

12.細胞周期で誤っているものはどれですか.
A.G1期とは分裂の準備期である 1.A.B
B.S期はDNA複製が行われる 2.A.E
C.M期はp53によって抑制される 3.B.C
D.G2期は分裂の準備期である 4.C.D
E.M期は分裂間期である 5.D.E
解答は2. A.E です。
この問題のポイントは「細胞周期の把握」です。
解説していきます。
細胞周期の把握
今回は解説を加えませんが、細胞周期を制御する遺伝子(p53やCyclinなど)も併せて覚えるとGoodです。
細胞周期を制御する遺伝子は、
言い換えると核分裂を制御する遺伝子なので、
免疫染色で遺伝子からのタンパクの局在を見てみると
例外はありますが多くが核に陽性を示します。(2020.6.16追記)
細胞周期
細胞周期は細胞の状態によって大まかに3分類されます。
- 静止期(G0期)
- 間期(G1期→S期→G2期)
- 分裂期(M期)
細胞が分裂する際には ・・・M→G1→S→G2→M→G1→・・・ という順番で進んでいきます。
多くの細胞は静止期(G0期)で存在し、 機能していることも知っておきましょう。
ここまでは高校生物の復習です。
もう一度図を提示します。
図で頭に叩き込んでしまいましょう。

細胞周期が頭に入ったら、染色体の状態にも注目しましょう。
ここまで出来たらGreatです。
続けてそれぞれの段階について解説していきます。
静止期・G0期
静止期は細胞周期から外れた状態
細胞が完全に分化するとほとんどの細胞が静止期に入ります。
間期・G1期
M期の終了から、DNA合成期が始まるまでの期間
S期に必要とされるタンパクが合成される段階で、細胞内の代謝が活性化されます。
G1期の終わりに細胞周期のチェックポイント(G1チェックポイント)があることも理解しておきましょう。
間期(DNA合成期)・S期
染色体DNAが複製される段階
DNAヘリカーゼで二本鎖DNAを開き、一本鎖にした後、
DNAポリメラーゼがそれぞれに相補的な塩基を結合させる
ことで、二本鎖DNAが二つ得られる。
この段階で細胞内のDNA量は通常の二倍量となっており、
複製の完了とともにS期は終了し、G2期へ移行します。
S期における細かい知識としては、
原則的に
- RNAの転写速度は低下
- タンパクの合成速度は低下
例外的に
- 中心体の複製が行われる
- ヒストンの合成が行われる
ことを覚えておくとよいでしょう。
間期・G2期
DNA合成期の終了から、M期が始まるまでの期間
S期から移行し、タンパクの合成速度は上がり、
細胞分裂に必要な微小管もG2期に合成されます。
G2期の終わりにはG2/Mチェックポイントがあり、
細胞がM期に突入するか判断していることは
押さえておきましょう。
分裂期・M期
有糸分裂と細胞質分裂が行われる期間
分裂期を理解するときには
- 有糸分裂
- 細胞質分裂
に分けるとよいです。
M期の前半、有糸分裂は
- 前期:染色体が凝縮
- 中期:核膜消失、染色体の赤道面配列(紡錘体形成)
- 後期:染色体が双極に移動
- 終期:染色体が脱凝縮、核膜形成
に分かれ、この順番で進行します。
M期の後半、細胞質分裂は基本的に、有糸分裂の周期から連続的に起こります。
問題解説 総論-12

今回の選択肢を振り返りますと、
A.G1期とは分裂の準備期である
E.M期は分裂間期である
の選択肢が誤った選択肢となります。
軽く訂正しますと、
G1期はS期(DNA合成期)の準備期間
M期は分裂期
となります。
細胞周期は病理・細胞診のみならず細胞生物学一般の基礎知識となります。基礎と侮らず知識の定着を完全に行いましょう。
まとめ:問題解説 総論-12【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】
今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 総論-12」についてまとめてきました。
おさらいします。
- 問題のテーマは「細胞周期の把握」です
- 細胞周期は基礎知識として定着させましょう
- 細胞周期を制御する遺伝子も併せて覚えると良いです
皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。