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細胞診 臨床検査

【応用への一歩】Papanicolaou染色のトラブルシューティング 問題解説 技術-9【第52回 細胞検査士認定試験 一次筆記試験】(2020.8.17追記)

こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。

普段は大学病院の臨床検査技師、医療系大学院生(D1)をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。

この記事を書いているの私は、養成課程在籍時に

細胞検査士認定試験を、一回でパスしました。  

その後、大学院に進学し、

後輩たちの研究や学習のバックアップを行っています。  

学生たちから、こんな要望がありました。

一次試験の対策を始めたのですが、この知識で十分なのか分からないので解説してほしい。
男子学生
男子学生

というものです。  

 

前の問題はこちら(2019年度 技術-8.Papanicolaou染色について正しいものはどれですか)

 

次の問題はこちら(2019年度 技術-10.次のうち正しいものはどれですか)(2020.8.17追記)

オダシ
オダシ
さっそく解説していきます

 

問題 技術-9【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

オダシ
オダシ
問題文を見ていきましょう
9.Papanicolaou染色について正しいものはどれですか。

  1. 湿固定が短時間の標本では、核が濃染する
  2. 湿固定が長時間の標本では、細胞質が青紫色に染まる
  3. 塩酸アルコールの分別が不十分の標本では、核小体が緑色に染まる
  4. 水分の混入したアルコールで脱水した標本は、エオジンの染色性が増強する
  5. 再水和法は、乾燥から再水和処理までの時間が短いほど染色性が良好である

で、解答は5. です。  

Papanicolaou染色は細胞検査士にとって

基礎 of 基礎です。

確実に押さえておきましょう。  

本問のポイント

この問題のポイントは 「Papanicolaou染色のトラブルシューティング」 です。

オダシ
オダシ
Papanicolaou染色は細胞診を行う上では欠かせません

Papanicolaou染色のトラブルシューティング

Papnicolaou染色について 押さえておくべき知識は

  • Papanicolaou染色の意義
  • Papanicolaou染色の原理
  • Papanicolaou染色の染色手技
  • Papanicolaou染色の染色結果
でした。

説明についてはこちら

(技術-6.Papanicolaou染色について誤っているものはどれですか)

をご覧ください。  

 

今回の問題を解くにあたっては、

これらの知識に加え、

トラブルシューティング的な

知識が必要です。  

Papanicolaou染色において

発生する問題は

  • 固定前乾燥
  • 固定不良
  • 染色不良
  • 脱水不良
  • 透徹不良

などがあります。  

オダシ
オダシ
それぞれについてトラブルシューティングを考えていきます

固定前乾燥

細胞診標本を作製するときには、

検体をスライドガラスに塗抹後、

直ちに固定液に浸漬する必要があります。  

 

固定液に浸漬するまでの時間が長いと、

細胞が膨化、核が変性し、

詳細な観察が困難になります。

また、染色性も変化し、

本来ライトグリーンに染まる部分が

好酸性化したように見えてしまいます。  

 

固定前乾燥してしまった標本を

改善する方法が再水和法です。  

再水和法は

  1. 乾燥標本に、生理食塩水、血清、スキムミルクを満載する
  2. 5~30分静置後、水洗
  3. 95%エタノールで30分以上固定
という手技で行います。  

再水和までの時間が早いほど、

良好な染色が得られます。  

注意点としては、

乾燥後に固定してしまうと、

再水和法は意味がありません。    

固定不良

固定不良には

  • 固定不足
  • 過固定

の二つがあります。  

それぞれが細胞像に与える 影響は異なります。  

 

固定不足の場合(3分以内)、

核内まで十分な固定がされず、

核の染色性が淡くなってしまいます。  

 

固定時間が長い場合(1週間以上)、

細胞が変性・萎縮し、濃染傾向になります。  

 

適切な固定時間で標本を 作製するようにしましょう。  

染色不良

Papanicolaou染色の染色不良としては

  • 本来染まるものが染まらない
  • 本来染まらないものが染まる

ことが考えられます。  

細胞質・核いずれの染色不良も、

染色液や水洗水のpHや温度、組成の

変化によって生じます。  

染色性のトラブルシューティングには、

経時的、季節的な変化に対応することが

必要です。  

 

一例としては、

ヘマトキシリン後の塩酸アルコールの

塩酸濃度が高い場合、ヘマトキシリンが

過剰に分別され、核の染色性が淡くなります

 

逆に、塩酸濃度が低い場合は、

ヘマトキシリンが分別されず、

細胞質や核小体が青紫っぽい色調になります。  

 

脱水不良

染色が終わった後も気を抜けません。  

脱水系列のアルコールの劣化や、

水滴の持ち込みにより、

標本の脱水不良が起こります。  

脱水が不十分だと

Papanicolaou染色の利点である、

細胞質の透明性が失われます。  

 

また、脱水不良は

標本の染色性の早期劣化を

招くため、注意しましょう。  

 

脱水用のアルコールの純度は

高く保つ必要があります。  

透徹不良

透徹が不十分もしくは、

透徹後に乾燥が生じてしまうと、

細胞質内に、コーンフレーク状の

顆粒が生じます。  

 

透徹を十分に行い、

封入は速やかに行いましょう。  

 

コーンフレーク状の感想が生じると、

十分な封入効果が得られなくなり、

標本の退色・劣化にも繋がるため

透徹操作も気を抜いてはいけません。      

問題解説 技術-6【第52回細胞検査士認定試験 一次筆記試験】

オダシ
オダシ
今回の選択肢を振り返ってみます
9.Papanicolaou染色について正しいものはどれですか。

  1. 湿固定が短時間の標本では、核が濃染する
  2. 湿固定が長時間の標本では、細胞質が青紫色に染まる
  3. 塩酸アルコールの分別が不十分の標本では、核小体が緑色に染まる
  4. 水分の混入したアルコールで脱水した標本は、エオジンの染色性が増強する
  5. 再水和法は、乾燥から再水和処理までの時間が短いほど染色性が良好である

で、解答は5. です。  

この問題は、

Papanicolaou染色の トラブルシューティングができるように なっておけば問題ありません。  

 

選択肢の中で、

1.湿固定が短時間の標本では、核が濃染する

は、固定が不十分の場合、

核の染色性が淡くなるため、

誤った選択肢です。  

 

2.湿固定が長時間の標本では、細胞質が青紫色に染まる

は、固定が過剰な場合、

細胞質が濃染傾向になるため、

誤った選択肢です。  

 

3.塩酸アルコールの分別が不十分の標本では、核小体が緑色に染まる

は、塩酸アルコールの分別が不十分の場合、

ヘマトキシリンが十分に落ちないため、

細胞質や核小体が青紫っぽい色調に

なるため、誤った選択肢です。  

 

4.水分の混入したアルコールで脱水した標本は、エオジンの染色性が増強する

は、脱水不良の標本は、

染色性の早期劣化を招くため、

誤った選択肢です。    

まとめ:問題 技術-9【第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記】

今回は「第52回細胞検査士認定試験 一次試験筆記 問題 技術-9」についてまとめてきました。 おさらいします。

  • 問題のテーマは「Papanicolaou染色のトラブルシューティング
  • 細胞診の誕生以来、消えないテーマです
  • 細胞検査士にとっては欠かせない知識です

皆さんが、一次試験を無事突破することを願っています。

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こんばんは、オダシ(@OdaCM_T)です。 普段は大学病院の臨床検査技師、医療系の大学院生をやりながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。 4月に入り、新年度が始まり ...

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こんにちは、オダシです。 普段は大学病院の臨床検査技師、細胞検査士、医療系大学院生(D2)をしながら、医療系トピックや臨床検査、病理・細胞診、研究について書いています。   私は臨床検査技師 ...

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